今から、ちょうど40年前、私は初めてフルコーラスのボーカル録音をしました。
歌ったのは、自作の曲ではありません。
サザンオールスターズの『Bye Bye My Love(U are the one)』という曲です。
当時、桑田佳祐さんがオールナイトニッポンをやっていて、リスナー参加のとても興味を惹く企画の発表がありました。
その企画とは、発売直前のサザンの新曲をリスナーに歌ってもらおうという企画。
リスナーは歌声をカセットテープに録音し、ラジオ局では全国から届いたリスナーの生歌を編集した上で、U.S.A. for Africaのごとく、リスナーがワンフレーズずつ歌うバージョンの新曲をオンエアするというものでした。
意を決して、初のボーカルレコーディング。カメラの三脚にカラオケマイクをガムテープで固定し、壁に自書の歌詞を貼って、ミニコンポのダブルカセットデッキの[REC●]を押し、桑田さん風の歌い方(自然にそうなる)で吹き込んでました。
歌詞は、新曲をラジオでオンエアするから聞き取ってくれ!だったと思います。
曲頭の歌詞「湘南御母堂(ごぼどう)」を、”ショーナン・グォバドゥオ”とかに書き起こすなど、007の暗号のような自筆の歌詞を見ながら、フルコーラス分、歌いきってラジオ局に送りました。
全国から相当の応募があったようで、実際のオンエアでは、曲を流しながら、桑田さんが歌唱応募者の名前をひとりずつ紹介し、放送日を何回かに分けてオンエアしてました。
悔しながら、私はすべての放送が聞けず、私の声がオンエアされたかどうかは、分からぬまま時が過ぎましたが、今でも胸を焦がした経験として心に残っています。
ラジオで桑田さんが企画を説明したときの、「必ず声だけを入れてね~。」の注意喚起は、その意味を知ったのも初めてでしたし、ヘッドフォンでガイド音を聞きながらボーカルだけ録音するという作業に、遊びじゃない何かを感じられたことは、当時の私には大きかったですね。
そういえば、この後、数年後に始まった自作曲の歌録りでも、同じカメラの三脚を使ってました。ダイナミックマイクを、三脚のハンドル棒に縛り付けて。
このカメラ三脚は、かなり昔に処分しましたが、三脚自身も意外な生涯に驚いたことでしょう。天国で「オレ、カメラじゃなくて、ずっとマイク載せてたんだよ。」と周りの三脚達に自慢している姿が浮かびます。
でも、あんな使い方をしてしまったカメラ三脚に、少しだけ申し訳なかった気がするので、近いうちに、全く逆の使い方をして気持ちをフラットに戻そうと思います。
どこか、白鳥のいる湖畔で、カメラをブームマイクスタンドの先端に装着した人影を見かけたら、それは私かもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
