私が高校生になったころ、楽器欲しさにバイトを始めて、鍵盤シンセを手に入れました。
演奏するよりも楽曲を作りたかったので、ギターやベースではなく、色んな楽器・リズムの音が出せるシンセサイザーを欲したのでした。
当時の作曲機材は、シンセ(DX100、αJUNO-2)とダブルカセットのミニコンポ、それにアイデアをテープに吹き込む用のカラオケマイクぐらい。
<YAMAHA DX100> ※YAMAHA社HPより

シンセ音源とダブルカセットデッキを駆使して、初めて自分の曲を多重録音するという超常体験をしました。
カセットテープを2つ用意して、1パートというか1音色ずつ、手弾きで録音していきます。
最初に1つ目のテープに指ドラムでリズムを録音し、次に先ほど録音した1つ目のテープを再生しながらベース音を弾いて2つ目のテープにMIX録音し、またそれを再生しながらコード系を弾いて片方のテープに録音し・・・といった作業を繰り返し、音を重ねていきます。
最後のメインメロディとなるシンセリードを重ねるときには、だいたい6~7回は繰り返していたと思います。
いわゆるピンポン録音ですが、これは程なく限界を迎えました。
経験ある方は分かると思いますが、「シャー」という、猫100匹が私を見て威嚇し続けるような強烈な砂嵐ノイズの中から、これでもかと言う程に音質が劣化した楽曲がグオングオン唸って聞こえる…という音源ができあがります。
本当は無限回数のピンポンを挑みたいところですが、回数が増えるごとに音質が劣化し音楽から遠ざかっていくため、この時の機材では6~7回のピンポン録音が限界でした。
それは、まさに砂嵐の中から自分の楽曲が聞こえるデモテープ。それでも、聞かせどころあり、達成感ありの自作曲の数々でした。
この辺の経験を経て、シンセ音源ばかりでなく、MTR(マルチトラックレコーダー)にも手を出していくことになります。カセットからMD、HDDへと。
今現在は、PC周辺で高品質な録音が簡単に済ませられるようになったので、まさに「あの苦労は何だったんだろう…」ですが、あらためて、劇的に進化した録音機材の行く末を、大声で昔の自分に教えてあげたいですね。
「お~い!何十年もすれば、簡単にノイズの無いクリアな音が録音し放題になるよ~!!」と。
これを昔の自分が聞いて、一体どんな反応をするか考えてみましたが、
「あ、それなら、そん時まで作曲は置いといて、他のことやるっす。」
…やっぱり、内緒にしておこう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
