私が影響を受けたアーティスト・作詞作曲家のひとりが桑田佳祐さんです。
私の作曲でのコード選びや曲構成、遊び心などは桑田さんの影響が色濃く出ていると思います。
80年代の後半に、桑田さんへのインタビューを掲載した『ロックの子』を読んだ私は、この本の内容にかなり深入りしました。
<ロックの子 桑田佳祐インタビュー>〔講談社〕

桑田さんの生い立ちから青春時代、サザンオールスターズの結成、デビューそしてビッグになるまでとその後を、桑田さんの心情を交えたインタビュー形式で記述されています。
タイトルからすると、カッコよく、大成功を成し遂げた華やかなストーリーを想像しますが、読んでみると、私には桑田さんの苦悩の大きさというのが一番印象に残っています。
特に、ヒット曲を世に送り出した後の苦悩というのが、実に考えさせられました。
事務所からはヒット曲と似たような路線で2匹目のどじょうを狙うぞとツツかれ、TVの歌番組では毎回同じような出演者と顔を合わせ、バンド内はアマチュア時代のような遊び心がなくなり、つまりは商用としての価値も高まっていくことに疑問を抱きながらも、そこには前に進もうとしている桑田さんの姿がありました。
私にはその苦悩がどれほどのものか、とても思い及ばぬところですが、「曲が売れたから良かった」では終わらない世界だったことに驚きを抱きました。
また、曲作りの難しさにも触れており、シングルリリースされている曲の中でも、あっという間に書き上がった曲もあれば、アレンジをこねくり回して何とか仕上げた曲もあって、レコードを聴いている私たちには知ることのできない苦悩があったのだと、ここは少し勇気づけられたところです。
それと、私にとって課題である「歌詞とメロディ」についての話は、ずっと参考になっています。
桑田さんは、曲作りのとき、デタラメ英語で仮歌を入れるらしいですが、本番テイクの場面で、デタラメ英語の響きが良くてここは残したいという部分は、そのデタラメ英語の発音に近い日本語の並びを歌詞として当てはめることがあるそうです。
つまり、歌詞そのものより音の響きに重きを置くことがあるということで、作詞・作曲者が同一ならではの、表現の自由度だと思います。
あとは、桑田さんらしくユーモアあふれるエピソードも色々ありましたが、大学時代、1週間の音楽合宿へ手ぶらで参加したという心意気には度肝を抜かれましたし、奥様との出会い(バンドへの呼び込み)は、ピアノで弾いていた曲とともに微笑ましい情景が浮かんで素敵な気分になれました。
この『ロックの子』の本は、これから先も、私の作業場の本棚に飾っておきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
