楽曲のエンディングとして、トニックコード(キーがCなら“C”)で終わらせるのが、昔ながらで一番安定感のある、万人向けの終わり方と思いますが、かつて、アナログレコードやCDでリリースされた楽曲には、全体の音量を徐々に下げて消える『フェードアウト』が多かったことは、もうすでに過去の話なのでしょう。
サビやイントロテーマを延々と繰り返して、音量が下がりきる少し前に、ドラムのフィルインがかすかに鳴って、スーッと消えていく感じは、また聴きたくなるような叙情を醸し出すものでしたが、昭和の頃は、このフェードアウトの楽曲が結構多かった気がします。
しかし、なぜ、今の時代、ほとんどフェードアウトで終わる楽曲が無くなってしまったのでしょうね。
昔、昭和の時代に、私が女性アイドルのステージを見に行った時のこと、学祭のゲスト出演で、カラオケをバックに歌うスタイルでしたが、セットリストの中にフェードアウトでオケが終わる歌がありました。
振付つきの歌なので、エンディング中も振付があったのですが、フェードアウトに合わせて振付の動きも少し小さくなって、堪えられなくなったかのようにPAでフェーダーを一気に落とすと、振付が固まり、スッと体制を戻してお辞儀をしたと同時に沸き起こるワーキャーの拍手が響く…という流れの光景を、今でも忘れられません。
「これ、どっちもツラいよな…」というのが、私の率直な感想でした。
フェードアウトして、刻々とボリュームが下がる瞬間の、「次にどうなるんだ」というステージ・PA・客席の戸惑いが三つ巴になって、最後のワーキャー拍手で皆がホッとし安堵するとするという、まるで、ワーキャー拍手がトニックコードの役目を果たしたかのような、そんな情景を目の当たりにしました。
フェードアウトした曲は確か、新曲だったと思うので、ライブバージョンのオケが間に合わなかったのかもしれませんね。
この経験を踏まえて、私の作る楽曲は、ほとんどの曲で『フェードアウト』しないアレンジとなりました。
最近、意図的にフェードアウトする曲をMusk5ccで残してみようと、その名のとおり『Fade Out』という曲を作ってみたのですが、実際に全体をフェードアウトしてみると、「やっぱり、胸につかえるモノがある…」と、方針を変更し、エンディングでリズムだけ鳴っている状態にしてからフェードアウトするようにしてみました。
理解しがたい妙なこだわりですが、その辺も作者の個性が出るところということで、ヨシとしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
